<エンゲージド・ブッディズム>がめざす平和・民主主義・豊かさとは何か? アウンサンスーチーに伴走してきたジャーナリストが日本政府と軍政の共犯関係を追究する。
好評を得た『アジアと共に「もうひとつの日本」へ』に続き、わたしたち日本人に”平和”と”豊かさ”の再考をうながす好著。
「ミャンマー情勢を追う新聞やテレビがいかに多くの文字と映像を費やそうと、他国の基本的な文化とそれに根ざした人びとの生きざまに無知なままでは、深く掘り下げた正確な情報は期待できないのではないだろうか。それはメディアだけの問題ではなく、私たち一人ひとりがアジアの隣人の苦悩にどう向き合うかをかんがえるとき、避けて通れない課題である。」(本書より)
「民主化運動指導者のアウンサンスーは、ターマニャ寺院の高僧との「豊かさ」についての対話で、自分がもとめる豊かさとはたんなる物質的な豊かさではないと答えている。彼女はそれが仏教の教えだとして、その目標の実現にむけた自分たちの運動をエンゲージド・ブッディズムと呼んでいる。」(本書より)
目次
第1章「市民不服従運動」への国家テロ
「独裁国家に逆戻りさせるな」
国際社会の対応
「アジア最後のフロンティア」暗転
第2章 日本政府の「独自パイプ」
ODAビジネスの黒幕
利権がつなぐ「独自パイプ」
もうひとつの国軍パイプ
第3章 「アジア最後のフロンティア」への既視感
日本はどこで間違ったのか
『ビルマからの手紙』
民主化運動が期待する日本との関係
第4章 国境を超えた市民連帯へ
市場としてではないアジアの声
「ミャンマーの未来に投資を」
声を上げはじめた日本人
第5章 民主化支援 「日本人の物語」としての平和と豊さを問う
平和と「歴史認識」
日本軍兵士が見たビルマ
受け継がれるミャンマー人の心の灯/エンゲージド・ブッディズム
永井浩 ながい・ひろし ジャーナリスト。神田外語大学名誉教授。元毎日新聞バンコク特派員。著書『される側から見た「援助」─タイからの報告』勁草書房、『見えないアジアを報道する』晶文社、『アジアはどう報道されてきたか』筑摩書房、『戦争報道論─平和をめざすメディアリテラシー』明石書店、『アジアと共に「もうひとつの日本」へ』小社、共訳:アウンサンスーチー『ビルマからの手紙』毎日新聞社。
2022年7月29日刊
ミャンマー「春の革命」──問われる[平和国家]日本
永井浩 /著
定価=本体1800円+税 ISBN978-4-7845-1378-9 46判並製240頁
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