戦時下、特別高等警察が組織化した協和会によって、二百数十万人の在日朝鮮人がそのその統制下におかれた。その実態と歴史を赤裸々に解明する唯一の文献。
目次
初版まえがき
増補版刊行にあたって
第1章 協和会前史 設立の動機
1 内鮮協和会の設立動機と事業
2 初期内鮮協和会の性格
3 初期内鮮協和会の挫折
4 新在日朝鮮人政策の展開
5 大阪府内鮮融和事業調査会の活動
第2章 朝鮮人親睦・融和・同郷団体 協和会設立以前の在日朝鮮人組織を中心に
はじめに
1 戦前期の朝鮮人団体
2 警察による朝鮮人団体の統合過程
3 三重県における朝鮮人既存団体の統合過程
4 協和会移行期における団体活動
まとめ
第3章 在日朝鮮人団体と協和会への組織化過程 三重県と千葉県での事例を中心に
はじめに
1 三重県地域での在日朝鮮人組織の統合過程
2 千葉県における朝鮮人組織の統合過程
3 既存在日朝鮮人団体と協和会への移行過程
まとめ
第4章 大阪における矯風会活動
1 警察の朝鮮人対応
2 矯風会活動
3 矯風会事業の組織的強化
4 矯風会事業内容の整備
5 矯風会活動の全国化
第5章 地方協和会の設立過程
1 協和事業団体設置要領
2 地方協和会設立と予算処置
3 一九三一~三三年の協和会概要
4 京都府協和会の設立と展開
5 協和会支部結成経過──兵庫県を中心に
第6章 中央協和会の設立
1 中央協和会設立の動機
2 協和会の論理
3 中央協和会設立の経過
4 中央協和会の役員構成
5 組織
6 機能
7 協和会の「画期的拡充」
第7章 協和会支部・分会・指導員
1 在日朝鮮人と警察
2 協和会と警察組織
3 協和会組織下の在日朝鮮人
4 協和会が動員した在日朝鮮人短期労働動員
補論 朝鮮から日本に動員された短期動員労働者
第8章 皇民化政策の展開
1 神社参拝
2 朝鮮人家庭に対する「神棚奉斎」
3 各種勤労奉仕
4 軍事献金・献品の強要
5 各種皇民化講習会への動員
6 教練・団体行動訓練の強化
7 強制動員労働者に対する協和訓練
8 朝鮮人女性への和服着用訓練
9 日本語使用
10 朝鮮人に対する税収奪
11 生活統制・地域改善の実施
12 貯畜奨励
13 福祉・保護施策の実態
14 会員証交付
15 在日朝鮮人に対する宣伝施策
第9章 協和会体制下の在日朝鮮人の抵抗
1 在日朝鮮人部落の積極的役割
2 協和会施策と在日朝鮮人の抵抗・非同調
3 強制動員労働者の抵抗
第10章 協和会体制の崩壊
1 興生会への転換
2 中央興生会の誕生
3 朝鮮人統制機能の解体
4 協和会と戦後在日朝鮮人社会
第11章 興生会体制の解体と敗戦後への移行
1 中央興生会事業計画と地方興生会の結成
2 興生会の組織崩壊と戦後朝鮮人抑圧体制の維持
3 新たな朝鮮人対応
資料紹介「財団法人 中央興生会昭和二十年度事業計画」
補章
1 日本人の在日朝鮮人対応(1)――幸田タマと八幡市丸山学院
2 日本人の在日朝鮮人対応(2)――柳原吉兵衛と協和会
3 「半島同胞」・「半島人」という言葉
4 日本政府の朝鮮人渡航管理
あとがき
増補版へのあとがき
著者紹介 樋口雄一 ひぐちゆういち 1940年生まれ。元・高麗博物館館長。中央大学政策文化総合研究所客員研究員。著書『戦時下朝鮮の農民生活誌』『金天海─在日朝鮮人社会運動家の生涯』『植民地支配下の朝鮮農民』(社会評論社)、『日本の朝鮮・韓国人』『日本の植民地支配と朝鮮農民』(同成社)、『戦時下朝鮮民衆と徴兵』(総和社)ほか
2023年6月30日刊
協和会 戦時下朝鮮人統制組織の研究(増補改訂版)
樋口雄一 /著
定価=本体2700円+税 ISBN978-4-7845-1215-7 四六判上製368頁
*本書の注番号に関して
本文中の注番号に関して訂正がございました。読者の皆様にはお詫びを申し上げます。正誤表は、以下のリンク先よりPDFファイルをダウンロードの上、ご確認ください。
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