〔文明を支える原初性〕シリーズ第7弾。
時空中間域を示すメソバースの概念を新たに用いて原初の歴史と現代世界とをもつれさせる社会哲学論集。「地中海的ハビトゥスと量子世界観―ブローデルとブルデューを参考に―」や「自然と超自然の緩衝域を考える―メソバース(時空中間域)の想定―」など19章。
先端科学で発見できた〔量子もつれ〕は、はたして自然現象なのかそれとも超自然現象なのか、そのどちらでもなければいったいいかなる領域の現象なのか、という問題に改めて、社会哲学的に迫ってみたい。考察の力点は〔量子もつれ〕でなく、自然・超自然の境目に置かれる。その境界領域、中間域が存在すると仮定して、私はその圏域を〔メソバース(mesoverse 時空中間域)〕と呼び、様態を〔メソフィジカル(mesophysical 物観中間域)〕と呼ぶことにする。(第2章より)
目次
第I部 原初性漂う価値転倒の水脈
第1章 地中海的ハビトゥスと量子世界観―ブローデルとブルデューを参考に―
第2章 自然と超自然の緩衝域を考える―メソバース(時空中間域)の想定―
第3章 〔講義〕未来社会Society5.0と〔メソバース〕
第4章 ベーメからフォイエルバッハへ―〔メソバース〕を介して―
第5章 フェニキア神話に私の唯物論を読み込む
第6章 ギリシア語「ピュシス(φύσις, physis, 自然)」について
第7章 古ゲルマン民衆の共同精神―グリム兄弟編著『ドイツ伝説集』を素材に―
第8章 啓蒙の精神と先史の精神―ヴォルテール『歴史哲学』を読む―
第9章 クルド民族文化とその吟唱者デングベジュ―映画『地図になき、故郷からの声』を鑑賞して―
第10章 マルクス「フォイエルバッハ・テーゼ」批評
第11章 L.H.モーガン人類学の再審―先史社会論の確立―
第12章 コッホ北里神社の呪術的特徴について
第13章 氏族(しぞく)と氏族(うじぞく)の文明論的区別
第14章 プレ邪馬台国の想定―小山顕治の天草・宇土説をヒントに―
第15章 〔講座〕猿供養寺の人柱伝説―スケープゴート―
第II部 書評という思索法
第16章 近代に立ち向かうガリアとゲルマン―サン・シモン/シュタインほか―
第17章 価値転倒の思想―等身大の19世紀人―マルクス/エンゲルスほか―
第18章 人間観と価値観のトルネード―ミハイロフスキー/バッハオーフェンほか―
第19章 〔からの自由〕と〔への自由〕―廣松渉/やすいゆたか/村瀬興雄ほか―
著者 石塚正英 いしづか・まさひで 東京電機大学名誉教授。NPO法人頸城野郷土資料室(新潟県知事認証)理事長。著作『原初性に基づく知の錬成—アインシュタイン・戦争・ドヤ街生活圏』『ヴァイトリング著「人類」―革命か啓蒙か』『地域文化の沃土 頸城野往』ほか多数
2024年5月2日刊行予定
原初性漂うハビトゥスの水脈 量子世界・地中海・ゲルマン・クルド
石塚正英/著
定価=本体3700円+税 ISBN978-4-7845-2806-6 A5判上製388頁
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