ある知人と電話した際に、
私の現状を尋ねられる。
「上司も部下も仕事もない」状態と答えたら、
「だったら本でも書けばいいんじゃないの」と言われた。
朝日新聞2017年7月31日夕刊の記事「左遷をたどって(4)」で、60才で退職するまでの5年間の「左遷」体験を持つ片桐幸雄氏が紹介されています。片桐氏は小社からその名の通り『左遷を楽しむ 日本道路公団四国支社の一年』や「左遷」がきっかけでまとめられた『スラッファの謎を楽しむ 『商品による商品の生産』を読むために』を刊行しています。
記事では「組織の中でうまく立ち回って神経をすり減らすより、正直に生きたほうが楽です」と、片桐氏はコメントされています。『左遷を楽しむ 日本道路公団四国支社の一年』には片桐氏が「左遷」を楽しむ日々が綴られています。
片桐幸雄/著
左遷を楽しむ
日本道路公団四国支社の一年
SQ選書02 四六判並製 216頁
定価=本体1,800円+税
購入サイト(外部リンク)
日本道路公団に勤務していた私は、2002年に発足した民営化委員会の事務局に次長として出向した。そこでの私の仕事のやり口は、「高速道路私物化論者の手先」ということになり、当時の藤井治芳・道路公団総裁の怒りを買って、翌年、高松の四国支社に飛ばされた。
高松での左遷暮らしは1年と半月で終わり東京に戻された。そして東京での「飼い殺し」の生活は、道路公団が解散する2005年9月末まで続いた。
私がこの間どのように日々の生活を楽しみながら暮らしたのかを辿ってみた。左遷暮らしを「耐えている」人たちや、左遷の「恐怖」にさらされている方々に、ひょっとしたら参考になるかも知れない。
(かたぎり・さちお)1973年横浜国立大学卒業、日本道路公団入社。総務部次長、内閣府参事官、四国支社副社長等を経て、2008年定年退職。2003年8月、「藤井総裁の嘘と専横を暴く」を『文藝春秋』に発表し、文藝春秋読者賞を受賞。著書に、『国際通貨問題の課題』『スラッファの謎を楽しむ』『なぜ税金で銀行を救うのか』などがある。
[主要目次]
はじめに──カミサンの涙
一 高松に行く
二 暮らしを楽しむ
三 出会いを楽しむ
四 読み書きを楽しむ
五 遠来の知人・友人と酒を楽しむ
六 高松を去る
七 遠方からの応援団
付記 東京に戻ってからの左遷暮らし