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加藤幸治著『文化遺産シェア時代 ─価値を深掘る“ずらし”の視角』が発売です。11章から構成した本書は、世界規模の文化的な遺産や、国内の文化財や博物館が著面する課題を考えて行きます。それがいかに現代社会がかかえる問題と結びついているか‥‥学芸員の立場から分かりやすく説く入門書です。以下、内容を詳しくお伝えします。
加藤幸治/著
文化遺産シェア時代
価値を深掘る“ずらし”の視角
2018年3月下旬刊 A5判並製・本文2段組192頁
定価=本体1,800円+税 ISBN978-4-7845-1738-1
目 次
各章は“ずらし”の視角で前半と後半とに分けられています。課題を各自それぞれに“ずらし”て考えることて、取り組む楽しみ、地域とのつながりを見いだせるかのヒントを教えてくれます。
第1部 文化・歴史・遺産
第1章 「平和のとりで」の構築
“ずらし”の視角 人類普遍の価値 ➡ こだわりの面白いもの探し
1 世界遺産が守りたいもの
- ユネスコの世界遺産活動
- 日本の世界文化遺産
2 人類普遍の価値からこだわりの旅へ
- 世界遺産「厳島神社」と聖域としての宮島
- 神体島としての宮島と御島廻り式
- 文化をめぐるレッテルとのつきあい方
第2章 文化変容のダイナミズム
“ずらし”の視角 かたくなに守る伝統文化 ➡ いまを生きる文化
1 無形文化遺産が守りたいもの
- ユネスコの無形文化遺産活動
- 日本の無形文化遺産
- セーフガーディング
2 伝統文化を現代文化としてとらえる
- 農林水産行政と食文化
- グッド・プラクティス
第3章 歴史的出来事の〝証人〟
“ずらし”の視角 書き留められた歴史 ➡ 共有されていく歴史
1 世界の記憶が守りたいもの
- 可動文化財の保護
- 日本の世界の記憶
- 世界の記憶とポリティクス
- 記録遺産の保護と活用
2 記録遺産のデジタル化とデジタル記録の保存
- デジタル・ヘリテージ?
- デジタル・ヘリテージの目指すもの
- オープンデータ戦略
第4章 持続可能な社会の実現
“ずらし”の視角 かれらが継承する文化 ➡ 自分と向き合うための文化
1 文化的多様性と多文化主義
- 文化的多様性の守りたいもの
2 アイヌの文化継承
- 異文化表象の落とし穴
- アイヌ文化継承の最前線としての二風谷
- 思索の場としてのチプサンケ
- 現代の民族概念
第5章 生物多様性と文化多様性の結節点
“ずらし”の視角 開発vs. 文化 ➡ 生物多様性+ 文化的多様性
1 世界農業遺産が守りたいもの
- 日本の世界農業遺産
2 開発と文化
- グローバル化時代における水資源の重要性
- 河川開発と文化資源をめぐる動き
- 紀ノ川流域における文化と開発
- 親水イメージの創造
第2部 文化財・博物館・学芸員
第6章 保存と活用のジレンマ
“ずらし”の視角 文化財を使って観光化 ➡ わたしたちの歴史・文化ストーリー
1 文化財の体系とそれを超えるストーリー
- 文化財の体系と保護のための仕組み
- 文化財のカテゴリを超えていくためのストーリー
2 文化財保護とまちづくり
- 保存と活用のジレンマとナショナリズム批判
- 文化財保護制度の転換期
第7章 眼前の風景に見出す意味
“ずらし”の視角 風景としての見栄え ➡ 物語へのオマージュ
1 土地に刻まれた文化財
- 不動産の文化財と名勝のカテゴリ
2 “まなざし”によって見出す景勝地
- 南方熊楠が生きた研究とフィールドワークの人生
- 南方熊楠の顕彰と追体験
- ストーリーで価値づける名勝
- 歌枕の伝統を現代に
第8章 地域博物館の理想と現実
“ずらし”の視角 地域文化の収蔵庫 ➡ 文化創造と交流の広場
1 地域博物館論と住民参加
- 博物館と現代社会
- 地域博物館論
- 住民参加のレベル
2 地域博物館論再考
- 疲弊する地域博物館
- 等閑視されてきたローカルな文脈
- 地域博物館論の陳腐化
- 文化財と教育の枠組みの相対化
- ジオパークとジオ・ミュージアム
- ミュージアムのサード・ウェーブ
第9章 研究が作り出す文化財
“ずらし”の視角 埋もれた文化 ➡ 掘り起こし編集する文化
1 学芸員的な調査研究
- 地域博物館の学芸員の調査研究
- 研究者の意図と地域住民の意図のずれを生かす
- 民俗誌とコレクション
2 民具と有形民俗文化財
- 有形民俗文化財の対象
- 東北地方の重要有形民俗文化財
- 民具の特質
- 有形民俗文化財の特質
- 民具コレクションの整理と管理
- 地域博物館の学芸員ならではの研究
第10章 協働につなげる価値の掘り起し
“ずらし”の視角 専門家が描く歴史 ➡ 身の丈にあった歴史
1 市民の関心のなかに資料を投げ込む
- ニュー・ミュージオロジー以降の博物館
- 多民族国家カナダにおける多文化主義と博物館
- 現代の地域博物館における学芸員の役割
2 負の遺産を相対化するキュレーション
- 絵はがきという“ 使いにくい”資料
- 絵はがきの展覧会とワークショップの実践
- 交流の場と飯坂の魅力再発見/文化創造のインタラクション
第11章 文化における「より良い復興」
“ずらし”の視角 被災文化財を救う ➡ 復興まちづくりの素材づくり
1 東日本大震災における文化財レスキュー活動
- 救援委員会による文化財レスキュー
- 宮城県における民俗資料の被災の全体像
- 文化財レスキューの現場が多い理由
- 文化財防災のためのネットワークづくり
2 文化財レスキューから文化創造活動へ
- 文化財レスキュー活動の実際
- 復興まちづくりにおける文化創造活動
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■著者紹介 : 加藤幸治(かとうこうじ)東北学院大学文学部歴史学科教授・同大学博物館学芸員。専門は民俗学、とくに物質文化論。静岡県出身。総合研究大学院大学文化科学研究科比較文化学専攻(国立民族学博物館に設置)修了、博士(文学)の学位取得。第17回日本民具学会研究奨励賞(2003年)・第21回近畿民具学会小谷賞(2003年)・第16回総合研究大学院大学研究賞(2011年)を受賞。現在、日本民俗学会第31期理事、日本民具学会第17期理事ほかを務める。主な著作として、単著に『郷土玩具の新解釈 無意識の“郷愁”はなぜ生まれたか』(社会評論社、2011年)、『紀伊半島の民俗誌 技術と道具の物質文化論』(社会評論社、2012年)、『復興キュレーション – 語りのオーナーシップで作り伝える〝くじらまち〟 』(社会評論社、2017年)、共著に 国立歴史民俗博物館編『被災地の博物館に聞く』(吉川弘文館、2012年)、日高真吾編『記憶をつなぐ 津波災害と文化遺産』(財団法人千里文化財団、2012年)、橋本裕之・林勲男編『災害文化の継承と創造』(臨川書店、2016年)ほかがある。