歴史知学、社会思想史、比較文明論で長きにわたる研究活動を続けている石塚正英氏。その研究歴の端緒となったドイツ手工業職人ヴァイトリングに関する研究があります。40年間にわたる研究成果がこの度小社より『革命職人ヴァイトリング コミューンからアソシエーションへ』として刊行されました。今回は書籍概要をお伝えいたします。
革命職人ヴァイトリング
コミューンからアソシエーションへ
石塚正英/著
〈主要目次〉
序 論 当該分野の研究史と本研究の目標
第Ⅰ部 前期ヴァイトリング ─1848年以前・ヨーロッパ
第1章 ドイツ手工業職人の結社運動
第2章 同時時代思想との比較における歴史認識と現状批判
第3章 下層労働者の社会思想
第Ⅱ部 後期ヴァイトリング ─1848年以後・アメリカ
第4章 コミューン論からアソシアシオン論へ
第5章 アメリカ民主主義に対抗する社会的民主主義
結 論 ヴァイトリング思想の統一的全体像を求めて
ヴァイトリング略年譜/参考文献
現代における労働者革命の原点を探る──
【ヴィルヘルム・ヴァイトリング 1808-1871】
1808年マグデブルクに生まれたファガント(漂泊者)ヴァイトリングは、さながら19世紀ドイツの下層社会に出現した第2のイエスであった。1938年ドイツ手工業職人の結社・義人同盟に加入。
1839年5月、ブランキら四季協会のパリ蜂起の参加。革命論をめぐるマルクスとの論争。1848年のベルリン革命にいたるまで、共同体(コミューン)創出をめざした結社運動に奔走する。
ベルリン革命の敗北後、北アメリカに亡命。1852年プルードンの影響を受けて、ニューヨークで労働者協同企業を創立し、アソシアニストとして活動する。
本書は、この19世紀ドイツの革命職人ヴィルヘルム・ヴァイトリングの思想的展開と運動の軌跡を追究する。そのことをとおして、19世紀の労働者運動のゲマインシャフト=コミューンからアソシアシオン=アソシエーションへの時代思潮的転回を詳細に検証する。
この歴史的理論的解明は、1917年のロシア・ボルシェヴィキ革命の負の教訓をふまえ、現代における労働者革命の原点と構想を探究するための貴重な営為である。
ISBN978-4-7845-1842-5 C0030
定価:本体5,600円+税
A5判上製 560頁
いしづか・まさひで 東京電機大学理工学部教授 NPO法人頚城野郷土資料室理事長 著書に石塚正英著作選『社会思想史の窓』(全6巻)などがある。
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