| 刊行情報 | 周保松・倉田徹・石井知章[著] /蕭雲[写真] 香港雨傘運動と市民的不服従 「一国二制度」のゆくえ 社会評論社 2019年11月上旬刊

雨傘運動鎮圧から5年──。
かれらは街頭に帰ってきた

四六判並製/224頁/定価:本体1,800円+税


2019年6月、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案をめぐって、香港史上最大規模の抗議デモが連日繰り広げられている。その底流には、2014年の雨傘運動の経験が引き継がれている。熟議民主主義の理念を掲げ、豊かで開放的な「市民的不服従」を実践した雨傘運動は、香港人の主体意識と共同体意識を根本的に変えた。

雨傘運動の思想的リーダーが語る雨傘運動と香港社会の変化を語る。運動の渦中で記録された写真多数。

著者略歴

周保松(Chow Po Chung) 
 1969年生まれ。香港中文大学政治行政学部教授。

倉田徹(くらた・とおる) 
 1975年生まれ。立教大学法学部教授。

石井知章(いしい・ともあき) 
 1960年生まれ。明治大学商学部教授。

目 次


香港における市民的共同体と「リベラル左派」の理念

石井知章

本書の背景
中国の「一国二制度」と雨傘運動
八三一決定と雨傘運動
雨傘運動の歴史的意義
「リベラル左派」の思想的根拠と雨傘運動

【講演】雨傘運動と「一国二制度」の未来

周保松

雨傘運動とは何であったか
中英連合声明と基本法
天安門事件の衝撃
中国政府による普通選挙引き延ばし
全国人民代表大会の「普通選挙」案
「オキュパイ・セントラル」の提起
「行政長官は『愛国愛港』でなければならない」
オキュパイ・セントラルの予行演習
全人代八三一決定
オキュパイが始まった
私たちはもう引き返せない
「一国二制度」と民主主義の関係
「一国二制度」にまだ未来はあるのか
雨傘運動は何を残したか

【コメント】雨傘運動後、香港社会はどう変わったか
倉田徹
【質疑応答】

不服従者の言 周保松
[上]逮捕の前
[中]市民自ら弁護する
[下]逮捕の後

雨傘運動をめぐる多様な思想 ──香港の「自分探し」の旅

倉田徹

はじめに
1 民主化運動の高揚と挫折
1 香港の民主化
2 「セントラル占拠行動」の思想的背景
3 雨傘運動の発生と運動への批判

2 新しい香港像、新しい思想
1 「本土思潮」の展開
2 中華としての香港
3 中華の外の存在としての香港

3 北京の対応
1 「中国の香港」論
2 「独立」問題の提起
3 新しい政治思想の取り締まり

4 おわりに

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