雨傘運動鎮圧から5年──。
かれらは街頭に帰ってきた
四六判並製/224頁/定価:本体1,800円+税
2019年6月、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案をめぐって、香港史上最大規模の抗議デモが連日繰り広げられている。その底流には、2014年の雨傘運動の経験が引き継がれている。熟議民主主義の理念を掲げ、豊かで開放的な「市民的不服従」を実践した雨傘運動は、香港人の主体意識と共同体意識を根本的に変えた。
雨傘運動の思想的リーダーが語る雨傘運動と香港社会の変化を語る。運動の渦中で記録された写真多数。
著者略歴
周保松(Chow Po Chung)
1969年生まれ。香港中文大学政治行政学部教授。
倉田徹(くらた・とおる)
1975年生まれ。立教大学法学部教授。
石井知章(いしい・ともあき)
1960年生まれ。明治大学商学部教授。
目 次
香港における市民的共同体と「リベラル左派」の理念
石井知章
本書の背景 中国の「一国二制度」と雨傘運動 八三一決定と雨傘運動 雨傘運動の歴史的意義 「リベラル左派」の思想的根拠と雨傘運動
【講演】雨傘運動と「一国二制度」の未来
周保松
雨傘運動とは何であったか 中英連合声明と基本法 天安門事件の衝撃 中国政府による普通選挙引き延ばし 全国人民代表大会の「普通選挙」案 「オキュパイ・セントラル」の提起 「行政長官は『愛国愛港』でなければならない」 オキュパイ・セントラルの予行演習 全人代八三一決定 オキュパイが始まった 私たちはもう引き返せない 「一国二制度」と民主主義の関係 「一国二制度」にまだ未来はあるのか 雨傘運動は何を残したか
【コメント】雨傘運動後、香港社会はどう変わったか
倉田徹
【質疑応答】
不服従者の言 周保松
[上]逮捕の前
[中]市民自ら弁護する
[下]逮捕の後
雨傘運動をめぐる多様な思想 ──香港の「自分探し」の旅
倉田徹
はじめに 1 民主化運動の高揚と挫折 1 香港の民主化 2 「セントラル占拠行動」の思想的背景 3 雨傘運動の発生と運動への批判 2 新しい香港像、新しい思想 1 「本土思潮」の展開 2 中華としての香港 3 中華の外の存在としての香港 3 北京の対応 1 「中国の香港」論 2 「独立」問題の提起 3 新しい政治思想の取り締まり 4 おわりに
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