新刊『マルクス主義と水の理論』(福本勝清/著)刊行。アジア的生産様式の議論を深める一連の既刊書をご案内。
マルクス主義の歴史理論において、「アジア的なるもの」は常に難問だった。
K・A・ウィットフォーゲルらの「アジア的生産様式」論は、古代からのアジア独自の社会発展と、そこで生み出された専制権力について論じたが、ソ連における共産党独裁の説明理論ともなりえることから、1930年代のソ連ではそれはタブーとされていた。
60年代以降、政治的な禁区からの解放が、「アジア的生産様式」論の活性化をもたらす。
そしてそれは、晩期マルクスのテキスト解読を通じてなされたマルクス共同体論の再発見へとつながっている。
マルクス主義と水の理論アジア的生産様式論の新しき視座 |
購入サイト(外部リンク) 【 Amazon 】
ソ連・中国など「二十世紀社会主義」は、オリエンタル・デスポティズムに由来する専制主義的国家体制であった。
西欧とは異なったアジア的社会論を折りにふれて論じたマルクス。しかしそれは「社会主義の祖国」においては一貫してタブーだった。アジアにおける水利社会と農民との関係、共同体と土地所有の関係、共同労働と賦役労働などの構造に着目したマクロヒストリー。
★本書をお求め下さいました読者より、次のコメントを頂戴しましたので追記いたします。ありがとうございます。(2016年9月2日追記)
感動的な本でした。アジア的生産様式について、世界中で多くの学者が研究して、いろんな意見を表明していることは知ってましたが、この本はそれらの学者の主張をよく分析するだけでなく、学者の立場も考えて分析してあります。そのために学者の世界がよく分かりました。(福岡 69歳)
アジア的生産様式論争史日本・中国・西欧における展開 |
購入サイト(外部リンク) 【 Amazon 】
中国革命論のパラダイム転換K・A・ウィットフォーゲルの「アジア的復古」をめぐり |
購入サイト(外部リンク) 【 Amazon 】
中国革命をめぐる「不都合な真実」。「労農同盟論」から「アジア的復古」を導いた「農民革命」へ。中国革命のパラダイム転換は、二つの巨大な「後進社会主義」党=国家という独裁的政治権力を背景にして「恣意的に」行われた。K・A・ウィットフォーゲルの中国革命論の観点から中国革命史における「大転換」の意味と、現代中国像の枠組みを問い直す。
K・A・ウィットフォーゲルの東洋的社会論石井知章/著 |
購入サイト(外部リンク) 【 Amazon 】
帝国主義支配の「正当化」論、あるいはオリエンタリズムとして今なお厳しい批判のまなざしにさらされているウィットフォーゲルのテキストに内在しつつ、その思想的・現在的な意義を再審する。
一九三〇年代のアジア社会論「東亜協同体」論を中心とする言説空間の諸相 |
購入サイト(外部リンク) 【 Amazon 】
一九三〇年代のアジア社会論。それは帝国の総力戦が近代の知に衝撃を与え、戦時変革を試みる「集団的知性」がトランスナショナルな思想的、社会政策的な運動を展開した一大エポックであった。10人の研究者による論集。「東アジア共同体」を歴史的に問う!